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2022.10.18

古典ラジオ Atwater Kent 20(1925年製)の修復

 非常に保存状態が悪いAtwater Kent 20を入手し修復しましたので、その内容を報告します。

前面パネルはあまり悪い状態とは言えないのですが...。
内部は腐食、汚れ、そしてコイルの内側には土の塊に様なものが付着しています(小動物の住処になっていた可能性あり)

 オーバーホールする前に回路上の不良個所を調査します。その結果、次の不良個所を修理しました。

  • 低周波トランスAFT2のコイルの断線 ⇒ 交換
  • 3段目の高周波コイルの断線 ⇒ 修理
  • 2段目のグリッド抵抗の破損 ⇒ 交換
  • パワースイッチの腐食による接触不良 ⇒ 修理

以上の修理により、不安定ながら一応、動作することを確認しましたので、次はオーバーホールを行いました。

断線している低周波コイルAFT2のコイルです。

この1次側コイルが断線している症状は良く見られます。動作不良の場合、最初に疑うべき箇所です。

AFT2のケースからコイルを取り出し、ケースのみを手直しして再利用し、コイル部は交換。
腐食している真空管ソケットの端子。これでも辛うじて接触・動作していました。
腐食部分を取り去り磨いた端子。さすがATwater Kentの作りは細部まで凝っています。
切断している端子を発見。これでも電気的にはつながっていました。
端子を半田付けすることにより修理。
高周波と低周波の感度調整用ボリュームと電源スイッチが一体となっています。Atwater Kent特有の構造です。
巻線ボリュームの不良(多くは断線)は古典ラジオの多くで見られます。しかし、Atwater Kentのボリュームの構造は非常に優れており、100年近い歳月が流れていても問題がなさそうです。

修理とオーバーホールの結果、次のような美しい状態となり非常に良い状態でラジオ放送を受信しています。

補修後のAtwater Kent 20の全面パネルです。
この回路図は本機の実測に基づき製作しました。

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