(静)電気は紀元前600年、ギリシャの哲学者タレスにより発見され、また磁気は紀元前十数世紀頃、古代ギリシャの遊牧民により発見され、1600年に入り磁気の本格的研究が行われましたが、1820年まで電気と磁気は全く別の物理現象として考えられていました。
1820年、エルステッドは電流が流れている電線の近くの磁石が動くことを発見(電流の磁気作用)し、1831年にファラディは磁石を動かすことにより近くの電線に電流が流れることを発見(電磁誘導)しました。
銅線を東西方向に配置し、銅線に電流が流れていない状態ではコンパスの針は銅線と並行となっています。
銅線に電流を流すとコンパスの針は大きく動きます。これは銅線に電流を流すことにより銅線の周囲に磁気が発生し、この磁気がコンパスの針(磁石)に作用するからです。
コイルの中に磁石を入れただけではコイルに電流は流れません。磁石を動かすことによって電流が流れます。すなわち、コイル周辺の磁気の時間的変化を与えることにより電気が発生します。
時間的に変化する磁気を発生する電磁石を作ることが出来ます。
この電磁石を左の装置のコイルに挿入することにより連続的に生じる電磁誘導現象を実感することが出来ます。
PCやスマホのACアダプターなどの多くの装置に使われているトランスの原理はこの現象に基づいています。
ファラディは電磁誘導の現象を発見するとともに電気と磁気の現象が対象であるという概念と電気と磁気の場の概念(電磁場の対称性)を確立しました。
1864年にマックスウエルはファラディの電磁場の対称性の概念に基づき電磁理論を構築し、その結果、電磁波の存在を予言しました。そして、1888年にヘルツが電磁波の存在を実証することに成功しました。(ヘルツの実験)
電磁波とは急激に時間変化する電場と磁場が相互作用し、空間中を伝播することによる発生する現象です。
時間的に急激に変化する電気をアンテナに与えることにより電磁波が発生、放射されます。現代は真空管・トランジスタ回路の共振現象により電磁波を発生させますが、ヘルツは断続する火花放電によりそれを行いました。
コヒーラとはニッケルなどの金属粉末を筒に入れ両端に電極を設けたもので、通常は金属粒子の表面が酸化されているため絶縁されていますが、電磁波を受信するとその絶縁が破壊され導通状態になります。
この現象を利用し電磁波を検出します。
1899年にマルコニーが大西洋横断無線通信の実験に成功しました。1902年にフレミングが2極真空管を発明し、そしてドフォーレが3極真空管を発明し、更に、1912年にドフォーレが3極真空管の増幅作用を発見ました。これらによって本格的な無線通信技術の時代の幕が開けました。
エジソンの電球にプレートと言われる金属板を追加することにより二極真空管が生まれ、更にフィラメント(カソード)とプレートの間にメッシュ状の金属板を挿入することにより三極真空管が生まれました。
よって、初期の真空管は電球によく似ています。
三極真空管のグリッドに信号を入力するとプレートには数倍の電圧の信号が出力されます。(増幅作用)
真空管201Aの増幅度は5~7位で、現代の真空管やトランジスタの増幅度(数十倍)に比べて非常に小さいものでした。
実際に見たり、触ったりしていただきながら、歴史と科学を交えた解説とともに体験をしていただけます。
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