クラシック・スピーカー・アンプの正式な定義はありませんが、戦前の真空管ラジオなどの筐体を再整備し、その筐体の中にスピーカーとアンプを実装したものを私共はそう呼んでいます。それらの筐体の中には現代の量産品と違い個性豊かで調和のとれた美しさも感じさせてくれるものもあり、それらが持つ雰囲気を現代の技術で甦せればと考えています。
以前、この趣旨で製作した作品(No. ICA001,ICAR003,ICAR004)が完売したのに伴い、よりクラシックでビンテージ感を強調した次の作品を製作しました。以前、作成した作品のスピーカーには現代でも製造、販売されているFostex FE127Eを用い、アンプは現代でも製造、販売されている真空管6P14P(6BQ5互換)を用いたシングル方式でしたが、今回の新たな方針に基づきスピーカーにはAltec 403A(1968年)とJensen P8R(1957年)を採用しました。P8Rは現代でもギターアンプ用として製造されていますが、今回、用いたものは古いものです。また、アンプは真空管6080(6AS7)と6BQ5のシングル・パラレル方式です。シングル・パラレル方式の採用により出力と音質の向上を考慮しました。
・スピーカー:Altec Lansing 403A(1968年)
・アンプ:真空管PhilipsECG 6080WC シングルパラレル
・スピーカー:Jensen P8R(1957年)
・アンプ:真空管6BQ5 シングルパラレル
製作する上で最大の課題は筐体の選定が最優先であるため、限られた筐体スペースに如何にしてスピーカーとアンプを実装するかと言うことでした。No.ICAR007の場合、寸法にあまり制約がない設計・製作の場合に比べで出力トランスをより小型のものを選択する必要が生じました。また、真空管も通常は12AT7-12BH7-6AS7(6080)の3球の構成であるところですが、今回は12AT7を省いて12BH7-6080の2球の構成としました。また、No.ICAR007に比べNo.ICAR008の筐体内部は更に狭く、電力増幅管には形状の小さいMT管を用いる必要がありました。最初、音質が優れている6R-A8を用いたいと考えましたが、やはりトランスなどの制約により6BQ5を選択することになりました。
メンテナンス性を考慮するとこれ以上、上手いレイアウトはないだろうと思われるほどぎりぎりのレイアウトになりました。
最後に試聴結果について、いろいろな音源を聞き比べましたが、個人的にはMiles Davis (Blue Note JAZZ)の演奏が最も心持よく聴くことが出来ました。
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